シリコンバレー コツコツコンサルタント日記

経営コンサルタンティング会社のシリコンバレーオフィスで働き、生活する中で生じた雑感。日米での仕事や組織、家族などについての考え事

シリコンバレーでのコンサルタント

コンサルタント」というのは何とも胡散臭い言葉で、意味が広すぎて、何の説明にもならない。

「経営コンサルティング会社」に勤務している、といえば、関わったことのある人は想像がつく。その中でも当然、会社によって千差万別。だけどそこは、自分自身の会社についてはよく知っているが、他社については働く知人・友人や聞いたことを経由でしか知らないので、詳しく知っている訳ではない。

そういう、ご存じのない方はご存じない、みたいな仕事であり会社なのだが、
ここシリコンバレーにおけるコンサルタントの立ち位置、みたいなものを簡単に、かつ至って主観的に、考えてみる。

自分の勤務先に入ってくるルートとしてよくあるのは、

  • 学部卒あるいは卒業して数年で入ってくる
  • PhDやMBAといった「肩書」の学位を取ってから入ってくる
  • 事業会社から転職

といった入り方が多い。

ちなみに、シリコンバレー(アメリカ全体はどうかわからない)にいて思うのは、女性の割合が日本より格段に高い。入ってくる半分以上が女性のときもある気がするし、また優秀である。
そこからの離職率も女性の方が高く、こちらでも、この業界で仕事・私生活を両方保っていくのは、男性も大変だが、女性にとっては極めて難しいのだと実感している。

上記の入り口、また、入社後の出口を考えると、このようになる:

学部卒

競合する選択肢で大きいのは、Google, Facebookといった(元はスタートアップだが)超大手のテック系企業や、それ以下様々なサイズのテック・ソフトウエア企業、スタートアップがある。もちろん、自身で起業するというのも含まれる。

そして、若くして入ってきた人たちが2-3年して行く先も、こういったテック企業の割合がすごく高い(気がする)。その他は、PEやVCといった投資会社といった新卒をほとんど取らない業界や、ノンプロフィット、MBAというところで、他の地域とさほど変わらない。

PhD・MBA・転職

PhDだと、当然アカデミアか働くか、というところなのだが、このあたりの大学だと、大学から起業する、といったことも珍しくないので、そういったオプションも含めて大学に残る、というパスと迷う人たちが多い。

MBAはまた違っていて、様々なパスがある中で、「コンサルに行きたい」という人が少々と、「まだ決まってないからとりあえずコンサルで数年修行して考えるわー」という人が安定している、といった感じだと思っている

こうして、ある程度キャリアや経験を積んで入ってくる人も、去る先はスタートアップがすごく多い。大きめの企業でマネジメントのポジションを得る人も一定数いるが、他の地域よりもスタートアップに転身する人の割合はかなり高いと思う。

 

辞める理由

よく理解できるし、そうだろうなと思うことであるけど、「スタートアップをする、スタートアップに行くのが格好いい」という風潮がある。また、今は割とバブルというか景気がいいので、スタートアップの資金の潤沢さが高く、給与水準がかなり高い(完全にこのあたりの狂気じみた家賃や生活費に反映されている)。

日本でも、「自分で何か事業をマネジしたい」という動機でコンサルタントから事業会社に移ったり、スタートアップに移る人も結構いるが、上記の流れなので、この理由で去る人の流動性が高い、つまり、あまりコンサルティングに未練なく辞めていく気がする。スタートアップがエクジットじたときの報酬を考えたら、金銭的にも遜色ないオプションだし(よりハイリスクで、ハイリターン)

また、これは自分としてもずっと向き合っていくテーマなのだが、「家族との時間をとるために」という理由が辞める理由の少なくとも一部を占め、それをはっきりと明言して辞めていく人が多い。
これは、出張が多すぎるという構造的な特徴があるので仕方ないのだが、外に同等に魅力的なオプションが多い、というのは関係しているだろう。

あと、アメリカの男性は家族のためにはキャリアチェンジも辞さないという考え方が強いようだ (家庭を優先するのは、母親よりも父親(アメリカではそうなりつつある))。信ぴょう性は分からないが、少なくとも身の回りにそういう考えの人は多いし、そういう考えで辞めていった人も多い。他のオプションも魅力的なので、別にキャリアを「犠牲」にしている訳では全くないと思うが。

この、コンサルタントを辞める動機や家族の点については、今後も何回も書くことがあると思う。

こういう、世界でも随一のスタートアップ文化・環境であるシリコンバレーなので、コンサルタントという仕事は、このあたりでは割と地に足の着いた職業と見られているのかもしれない。自分が当事者ではなくあくまでもアドバイザー、といった点はどこに行っても変わらなないにしても、プレッシャーやリスク・リターンといった観点でより「エクストリーム」なスタートアップのオプションがふんだんなので、そういった「アントレ気質」な層が薄いのかも。

そんなことを言いつつも、十分にスゴイと思う人が同僚に多いのは、そもそも集まってくる人材のレベルやタイプ、そして絶対数が他の場所とは違って多いということもあるだろう。多くの人が一度住んだら離れたくないというところなので、引きも強いのである。

 

あまり結論のない感じになってしまっているが、無理やりまとめると、

職業のオプションセットが他の地域と違い、よって人材プール自体も特徴的であり、数もレベルも高い気がする。選択肢も人材プールも多く、流動性も高い中にいるということで、コンサルティング業界も人の出入りは(そもそも激しいが)もっと多いことが予想される。

ということだろうか (あくまで個人的な憶測です)

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